3.2 財政的インセンティブ交付金と市町村マネジメント機能の強化
地域包括ケアシステムの推進において、自治体が主導する介護保険事業計画のマネジメント機能と介護人材の確保・定着には顕著な地域格差が生じている。介護保険制度改革の動向を論じたTsutsui (2014)が指摘するように、地域包括ケアの構築は市町村が主導する持続可能なサービス基盤の整備と一体不可分である。しかし、近年の保険者マネジメント施策に関する分析(Tsutsui et al., 2024)によれば、保険者機能強化推進交付金をはじめとする政策的介入が導入されているものの、専門職員の配置や計画策定能力において小規模自治体と大都市圏との間に実行力の乖離が見られる。さらに、地域医療と介護の統合において不可欠なプライマリケア体制の整備状況も地域ごとに異なっており(Haruta et al., 2019)、多職種連携を基盤とする人材活用モデルの円滑な運用を制約する要因となっている。したがって、画一的なインセンティブ付与にとどまらず、自治体の規模や資源制約に応じた制度的支援体制の再設計が求められる。