本論:地域政策としての大学立地と定員管理の限界
地方大学における定員拡大政策の有効性をめぐっては、地域経済の活性化と教育機会の提供という観点から一定の支持がなされてきた。フィンランドの事例が示すように、高等教育の地理的分散と規模拡大は地域の知識基盤を構築する政策的手段として活用されてきた歴史がある[3]。しかしながら、急激な量的拡大は大学ガバナンスと教育体制に重大な負荷を与える要因ともなり得る。中国における定員拡張政策の分析においても、急激な規模拡大が大学統治の複雑化や教育資源の希薄化をもたらした点が指摘されている[1]。定員拡大を単独で推進しても、地域社会が求める人材需要や産業構造との連携が欠落している場合、学生の流出や教育の質的保証の形骸化を招く結果となる。したがって、地方大学の再生を定員規模の拡充のみに委ねる論理には明確な限界が存在し、機能的分化と自律的統治構造の確立が同時に求められる。