3.1 都道府県間における学生移動と大学規模別競争の様相
日本の高等教育における定員構造と学生流動の分析において、市場競争の理論枠組みを地方大学の現実に適用すると、政策意図と実態の間に顕著な乖離が観察される。人口動態の変動に対する制度設計と地域間格差の歴史的展開を検討した研究(2026)が指摘するように、教育機関の規模拡大や配置政策は常に人口動向と社会的要請の力学に制約されてきた。現代の政策的実証分析(2020)によれば、文部科学省による大学分散や地方創生政策にもかかわらず、学生は県外の中大規模校へと流動し続けており、地方における大学の分散効果は限定的にとどまる。さらに同研究は、大規模大学が独占的競争の優位性を享受する一方で、小規模大学は完全競争に直面しており、教育の質向上や多様化を図っても代替の弾力性が低下し入学者数の改善に直結しない構造を明らかにしている(2020)。この比較から、小規模な地方大学の存続問題は個別の教育努力にとどまらず、規模別の競争構造と地域外への学生流出という市場構造の歪みに起因することが実証される。