大学組織における相談体制と救済手続きの制度的課題
高等教育機関におけるハラスメントの抑止において最も重大な課題は、組織内の評価権限と研究指導の閉鎖性に起因する権力の集中である。任用や資金配分を掌握する上位者への依存度が高い環境では、不当な威圧や差別的言動が発生しても告発に伴う不利益を懸念して潜在化しやすい実態が指摘されている[3]。一方で、ハラスメントは単線的な上下関係のみにとどまらず、立場の相違に応じた対抗権力型の侵害行動としても表出することが確認されており、行動規範の画一的な適用には限界が存在する[2]。したがって、個別の事象を偶発的な対人トラブルとして処理するのではなく、評価基準の透明化や第三者性を担保した相談救済窓口の設置など、組織構造そのもののガバナンス改革を断行することが不可欠である。